きれいな魚

 信じたくなかった。美風が何を言ってるのか、美風がしていることを、強い眼差しが拳銃を持つ姿を。赤い酒がこぼれる床で、青い水槽で魚が泳ぐその横で、美風は見つめていた。その背中を覚えていた。もう二度と、傍からはなれないで。美風はきかない。だって、美風は自分が関係なく彼女の意思で動くからだ。ようやくわかる。美風は私たちの心配をしていたのだ。何度も言っていたけど、今のいままでわからなかった。彼女は、本当に、心配していた。私たちを見ても、何も言ってこなかったのはそのためだ。青白い水槽の光が眩しくて見えない。いつの間にか彼女の黒い後ろ姿も見失いそうだった。いつも隣にいたのに、この8年、ずっと一緒にいたのに。
「坂下」
 名前を呼んだ。彼女は振り返った。でも返事はなかった。口は控えめにつぐんでわずかに眉間にしわが寄って、大きく開いた目に水槽の光と悲しみが覗いていた。ああこれは自分たちのせいだと、気付く。色の乗った唇が少し開いた。でも彼女が話す前に自分から動いた。一歩踏み出す時にもう一度名前を呼んだ。美風は「私ですか」と言った。
「どうしてここにいらっしゃるのでしょう」
「二人から事件をきいてきた」
「そうですか。でも、それはあなたが扱うことではないと思いますが」
「勝手にしている。お前こそ、どうしてここへ」
「仕事をさぼって遊びに出ているのは申し訳ないと思います。しかし今はまあ、おあいこということでしょうか」
「そういうことを訊いているんじゃない」
「あなた方がよくここにいるから」
 以前美風はここに来ていた。でもどうしてまた。普通に考えたらおかしいのだが、なんとなく予感はしていた。悪い予感だ。

( ねためも ) comments(0) -
しゃったー

「胸を張っていられるように、がんばりたいんです。それまで会いません。」

 いつからこんな健気な女の子になったっていうんだ、ガゼルは!

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happy spring

はるか西の海で(わたしのいないいつか)生を受けたあなたへ!

( 船の上 ) comments(0) -
339

「何観てるんですか?」
「!!勝手にのぞかないでください!!」
「大っきい画面で見たいからって、僕のパソコン借りてるのガゼルちゃんでしょ…」
「う…」

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赤い靴

 きっと、あなたは、私の赤い靴の意味もご存じないのでしょう。
 薄暗くなった路地裏はすこしさむかった。どうしよう。もう宿に戻った方が良いのだろうけど、戻りたくない。みんなが帰るだろう方角にちらりと目を向けて、やっぱりまだ町を歩くことにした。
(わるいこと、してるのかな)

( 船の上 ) comments(0) -
 

「いいじゃないですか。素直な人で。どこかの誰かにも見習ってほしいものです」
「それはあなたもですよ副会長さん?」
「ガゼル仕事は…」
「ちょっとガゼルさん手離してくださいよそれぼくに持ってきてくれたんでしょ?」
「あらいやですわまるでわたしが強情な女みたいで…副会長さんの力が足りないんじゃないんですか?」

「ガゼルさん別の仕事あるのにわざわざお茶持ってくるんですよね…」
「お菓子は一緒に食べてるんだよね」
「仲は良いんですね」

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こわい日曜日

「うそ でしょ」

「わたしの息子を困らすとは何事ですか」

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切りすぎた前髪

 どれくらいがあなたの一番哀れなところか、わたしが今はかってあげるから

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キラキラ

 私のことなんかどうでもいいみたいに
「じゃあ、次の話」
 何度君の心配をしたか
「ガゼルさん、病院に行かなきゃ」
 それでも私は
何度苦しんだだろう。

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 ストライカはほんとは大きな机は好きじゃない。彼は三人くらいしか座れないような小さな丸い机を好むのだ。だってそれが一番綺麗に映るから。
「誰もいないなら僕たちだけで座ればいい」

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